厚底からムートン、盛り髪から森ガールへ。10年で反転した服の話。
2026年8月28日
2000年代のファッションは、10年でまとめて語れません。 前半と後半では、シルエットも色も、目指している方向も違います。 同じ10年のあいだに、細くて派手なものから、ふんわりして地味なものへ、輪郭が完全に反転しました。
時期ごとに分けて並べます。
1990年代の終わりの熱がまだ残っていて、いちばん振れ幅が大きかった時期です。
この時期のキーワードは「盛る」より「振り切る」です。 全身のどこかを極端にすることで成立していました。
反転が起きます。派手さから、上品さと女性らしさのほうへ一気に流れました。
雑誌のモデルが個人として有名になり、 「この人と同じ格好をする」という買い方が広まったのもこの頃です。
さらに二手に分かれます。極端に盛るほうと、極端に力を抜くほうです。
同じ年に、盛り髪の人と森ガールが同じ電車に乗っている。 2000年代の後半は、そういう時期でした。
いまと決定的に違うのは、流行の情報が月に1回しか来なかったことです。 発売日に買って、切り抜いて、次の号までそれを見る。 だから雑誌ごとに読者の見た目がはっきり分かれていました。
| 小学生〜中学生 | nicola、ピチレモン |
|---|---|
| 中学生〜高校生 | SEVENTEEN、Popteen、Ranzuki、egg |
| 大学生〜社会人 | CanCam、JJ、ViVi、Ray |
| 2000年代後半 | 小悪魔ageha(盛りの系統) |
「どの雑誌を読んでいたか」を聞くと、当時の見た目がだいたい分かります。 自己紹介の話題としてもよく効きます。
子ども向けブランドは、当時持っているかどうかで扱いが変わる種類のものでした。 筆箱や体操着入れに名前が入っているだけで話題になる。 いま思うと、ブランドというより所属の記号です。
校則との距離の取り方そのものが、ファッションの一部でした。 どこまでやるかで、その人の立ち位置が見える。 制服という同じ服の中でやりくりする、という点では、 携帯にストラップを付けていた話と構造が同じです。
2000年代前半の要素は、いま「Y2K」という名前で戻ってきています。
| 戻ってきた | ローライズ、厚底、小さいバッグ、ラメ、ロゴ入り、細いサングラス |
|---|---|
| 戻っていない | 細眉、ルーズソックス(形を変えて一部復活)、日焼け |
面白いのは、戻ってくるときに当時の意味は付いてこないことです。 当時のローライズは「大人に見せたい」ものでしたが、いまは「懐かしくてかわいい」もの。 同じ形なのに、着ている理由が違います。
2000年代のファッションを思い出そうとすると、多くの人が同じ壁にあたります。 その頃の全身写真が、ほとんど無いということです。
撮っていたのはプリクラか、携帯のカメラか、フィルムのカメラ。 プリクラは顔しか写らず、携帯の写真は機種変更で消え、フィルムは実家のどこかにあります。
だから服の話は、写真ではなく言葉で交換するしかありません。 「ルーズソックス」と言えば長さも糊も全部伝わる。 共通の記憶がある相手には、単語ひとつで十分だったりします。
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ストラップ、プリクラ、MD、写ルンです。