厚いグロスと大粒のラメ。「足す」ことが正解だった時代のメイク。
2026年8月28日
2000年代のメイクを一言でまとめるなら、「足す」時代でした。
ラメを足す、艶を足す、まつげを足す、髪の高さを足す。 引き算という考え方はほとんど出てきません。 そして、この10年で「プチプラ」という言葉が定着します。
※ここに書くのは当時どう流行ったかの記録で、使い方や効果をすすめるものではありません。
安い化粧品を選ぶことが、我慢ではなく上手さとして扱われるようになりました。 雑誌が特集を組み、何千円もするものと並べて紹介する。 この扱いの変化が、2000年代のいちばん大きな出来事かもしれません。
中高生が自分の小遣いで買える価格帯に、選ぶ楽しさのあるものが並んだ。 コスメが持ち物としてかわいいものになった時期です。 パッケージだけで選んで、使わずに机に並べている人もたくさんいました。
アイシャドウは、色よりラメの粒で選ばれていました。 粒が大きく、光り方がはっきりしているほど良い。 夕方には頬まで落ちてきますが、それも含めて当時の見た目です。
まぶたを二重にする道具です。学校のトイレで直している人がよくいました。 上手い下手がはっきり出るので、うまい友だちに頼む、という光景も定番でした。
後半になると、瞳を大きく見せるレンズが広まりました。 雑誌のモデルが着けはじめ、そこから一気に降りてくる。 このあたりから、目の印象を作りにいく方向が強くなります。
2000年代のリップは、色より艶でした。
いま流行っている艶のあるリップと、見た目はよく似ています。 違うのは量です。当時のほうが、はっきりと厚く塗っていました。
2000年代の初めと終わりで、いちばん変わったのが肌です。
| 2000年ごろ | 焼く。日焼けした肌が前提の見た目があった |
|---|---|
| 2000年代半ば | 反転して、白いほうへ一気に流れる |
| 2000年代後半 | マットに仕上げる。テカリは避けるものだった |
面白いのは、そのあと「ツヤ肌」が来ることです。 2000年代に必死で消していたテカリが、名前を変えて戻ってきました。 同じ状態でも、呼び方が変わると評価が変わるという例です。
2000年代の学校には、はっきりした匂いがありました。 ボディスプレーとロールオンの香水です。
香りは、コスメのなかでいちばん持っていることを見せるものでした。 小さいボトルを机に出す。貸す。同じものを買う。 プロフ帳やストラップと、同じ働きをしています。
髪だけで、その人がどの雑誌を読んでいるかが分かりました。 ファッションの記事と合わせて読むと、時期の対応が見えると思います。
| 2000年代 | 足す。盛る。塗ったことが分かる仕上がりが良いとされた |
|---|---|
| いま | 引く。素っぽく見せる。手をかけたことを隠す方向 |
ただ、これは価値観がひっくり返ったというより、見せ方の作法が変わっただけだと思います。 手間の量はたぶん変わっていません。 2000年代は手間を見せることが良しとされて、いまは見せないことが良しとされている。それだけの違いです。
だから当時の写真を見て恥ずかしくなる必要はなくて、 あの厚いグロスも高い盛り髪も、その時代の正解をきちんとやっていた結果です。
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