拝啓プロフ 読みもの

2000年代の文房具と、学校のこまごま

ミルキーペン、缶ペンケース、練り消し、紙のプロフ帳。机の中に入っていたもの。

2026年8月28日

2000年代のものでいちばん記憶に残っているのは、たぶん文房具です。 毎日さわっていて、しかも自分で選んで買っていたから。 教室の机の中は、当時いちばん自由にできた場所でした。

名前を並べていきます。手ざわりのほうから戻ってくるはずです。

ペン

ミルキーペン

パステル色の、うっすら不透明なゲルインクのペン。 いちばんの特徴は黒い紙や色紙の上に書けることでした。 普通のペンは黒地に負けますが、これは白っぽく乗る。 だから寄せ書き、色画用紙のカード、黒いプロフ帳の見返しで活躍しました。

色の名前が「ミルキー〇〇」で統一されていて、 好きな色を1本ずつ買い足していくのが普通の買い方でした。

10色や20色のカラーペンセット

細くて色が濃く出るゲルインクのペンを、ケースごと持ち歩いていました。 ノートを何色にも分ける、というやり方が流行った時期です。 黒で書いて、赤で線を引いて、青で囲んで、緑で補足する。 きれいなノートを作ること自体が目的になっていて、内容はあまり入っていませんでした。

匂い付きのボールペン、消えるボールペン

グレープ、ソーダ、いちご。インクではなく軸に匂いが付いているものが多く、 筆箱を開けると全部の匂いが混ざっていました。

こすると消えるボールペンが日本で発売されたのは2007年です。 2000年代のなかでは新しいほうで、「消える」ことに全員が一度は驚きました。 そのあと、消えたはずの字が冬に戻ってくる、という発見も共有されました。

シャープペンシル

握るところがぶよぶよしたグリップのものが定番でした。 芯の太さは0.5が普通で、0.3を使っている人はちょっと変わっていると思われました。

芯を出しすぎてわざと折る、というのも全員がやっていました。 折った芯を机の溝に並べる。意味はありません。

消しゴム

香りの付いた消しゴムは、しばしば使わないほうの消しゴムでした。 実用の1個とは別に、いい匂いの1個を筆箱に入れておく。 道具というより、持っていることに意味があるものです。

筆箱

缶ペンケース

金属の四角い箱。落とすと教室じゅうに響きます。 そして必ずどこかがへこんでいました。へこませてから味が出る、という扱われ方をしていました。

ふたの裏にプリクラを貼る、シールを貼る、というのも定番です。 外側はキャラクター、内側は自分の写真。二段構えでした。

ボタンを押すと開く多機能ペンケース

両面が開き、押すと鉛筆削りが出てきて、内側に虫めがねや温度計が付いている。 実際に使う機能はほぼゼロなのに、全部の仕掛けを一度は試しました。 小学生の筆箱は、この形が長く続いています。

ノートとルーズリーフ

中学に上がるとルーズリーフに移行する、という不文律がありました。 バインダーを買って、リフィルを買って、インデックスで教科を分ける。 中身が増えていないのに、道具だけがどんどん本格的になっていきます。

ノート5冊パックで買う。表紙の色で教科を分ける
ルーズリーフA罫かB罫かで揉める。B罫のほうが行が細い
バインダークリアポケットに写真やプリクラを入れる
インデックス色分けする。3日で剥がれる

シールとデコレーション

シールは使うと減るので使わないという矛盾を全員が抱えていました。 いちばん気に入っている1枚は、最後まで貼られないまま残ります。

回すもの、遊ぶもの

紙のプロフ帳と交換日記

文房具の話で外せないのが、紙のプロフ帳です。 1ページに質問が並んでいる冊子を買ってきて、友だちに1枚ずつ書いてもらう。 名前、誕生日、血液型、好きな人のイニシャル、私の第一印象、最後にひとこと。

質問の内容は、いまのSNSのプロフィール欄とほとんど同じです。 違うのは、書く人と読む人が入れ替わることでした。 自分のことを自分で書くのではなく、渡して、書いてもらって、返してもらう。 だからプロフ帳は「自己紹介」であると同時に、手紙の束でもありました。

交換日記も同じ構造です。1冊のノートを回して、続きを書いていく。 2000年代の半ばに、この形がそのまま携帯に移ります。 紙で回していたものが、URLで回るようになった。それがケータイのプロフでした。

その話は 2000年代の「プロフ」は、なんだったのか に書いています。

手紙の折り方

ルーズリーフ1枚を、封筒の形に折る技術がありました。 ハート型、正方形、リボン付き。折り方は口伝で広まり、 折れる人が休み時間に教える、という形で継承されていました。

折るのに時間がかかるほど、丁寧だと受け取られます。 ギャル文字が「手間をかけること自体が気持ちの表現だった」のと、まったく同じ理屈です。

いま買えるもの、もう無いもの

いまも買えるミルキーペン、まとまるくん、缶ペンケース、ルーズリーフ、練り消し
見かけなくなったロケット鉛筆、多機能ペンケース、紙のプロフ帳(一部は復刻あり)
形を変えて残った交換日記 → メッセージアプリ、シール帳 → 写真フォルダ

意外と、多くは今でも売っています。 無くなったのは道具のほうではなく、それを毎日さわる時間のほうかもしれません。

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